反応を見たがるおじさん

若い頃はいろんな仕事をやりました。私にとっての仕事は好奇心そのものだったので、慣れて手際よくなると興味が薄れて別の仕事に鞍替えしてしまい、随分畑違いな数十種類の仕事を経験することになりました。

数十年前の若かりし頃、某大手新聞社に仕事で行きました。 担当者が最後にニコニコしながら、「帰りにおもしろいものみせてあげるよ。」と言ってきました。

私はなんでも素直に反応する子だったので、ふ~ん、と後ろにくっついて行きました。仕事場のだだっ広いフロアの中央あたりに個室が両側にズラリと並んでいるところに連れて行かれました。

担当者のおじさんが、「この個室の間の廊下を見ててごらん」と言いました。 ただの廊下です。な~んにもないのに何だろう、と思いながらもいっしょにじーっと何かを待っていました。 そしたら右側の個室からバンッと裸の男性が出てきて、アホみたいに突っ立ってみている若い女の子とおじさんを見ると、大慌てでタオルで股間を隠しながら反対側の個室へ入っていきました。 その慌てっぷりがおかしかったですけど、えっ?と驚きますよね。

おじさんは私の驚いた顔を見ると、満足げにニコニコしてやっと解放してくれました。 このおじさん、忙しい人のはずなのに、わざわざ若い女の子に見せたかったんだ~、と少しむかつきながら帰社しました。

当時は博報堂とか新聞社とかの下請けで挿絵を描いていた頃だったと思います。

まあいろんな仕事に興味のあった頃ですから、新聞社にはシャワー室やら仮眠室があるんだ~、と社会勉強をさせていただきました。

今の大手新聞社のメインのお仕事は、ネットや時事通信社からの情報をそのままコピペ&ネット工作するだけの「誰でも出来る簡単なお仕事」になってしまいましたが、30~40年前の当時は自分でテーマを決めてまともに原稿の書ける記者さんたちがまだたくさんいました。