2012年12月14日
★USA製クリスタルボウルに陶器製が出現!!
リペア情報です。
リペア依頼されたUSA製フェナカイト(フェナサイト)という種類の薄いグリーン色クリスタルボウルが陶器製だと判明しました。水晶は全く含まれていませんでした。見た目的には、内側が乳白色のごくふつうのアルケミーボウルです。
2012年前半にアルケミークリスタルボウルとして某ショールームで購入されたものです。
その製造会社は2010年秋頃からおかしくなり、2011年にクレジットカードによる不正請求を数回仕掛けてきたため、うちでは2010年の仕入れを最後に以後取引自体はありません。
確かにその会社の製造方法は陶器職人さんと同様の製造方法だったことは以前からわかっていました。
ただ、今までのリペアボウル(USA製)は、たとえキメが粗く、塗料たっぷりの色物系ボウルであれ、ベースは水晶でした。今までに当ショップでリペアできた方、良かったですね。水晶製だと確定していますから。
しかし、リペアに出されたクリスタルボウルで、陶器製のためリペア不可となったのは初めてのことです。いくらその会社が途中からおかしくなったとはいってもそこまでやるのだろうかと信じがたかったのですが、確かに破断面も今までのものと随分違っていました。陶器の中では比較的温度の高いセラミックのようです。(セラミックボウルがリペアできないというわけではありません。陶器は水晶職人さんの専門外なのでやらないということです。水晶職人さんに陶器の修理なんか頼んだら怒られます。)
陶器製クリスタルボウルは、2012年初頭に購入されたボウルなので、2012年に入ってからその会社のアルケミーボウルを購入された方は要注意かもしれません。
2012年度製造、2011年度製造のアルケミーボウルはリスクが高いです。2010年度までの製造のクリスタルボウルリペアで陶器製というのは出現しておりませんので、ご安心いただいていいかと思われます。
今、何が本物で何が偽物なのか、自分の目と耳で判断することを試されているときなのかもしれません。
セラミック製クリスタルボウルの音色がいいという人もいるでしょうが、水晶とは全く関係のない素材からできていますので、「水晶製」、「クリスタルボウル」という名称で販売するのは問題があると思われます。
水晶のサスティン(余韻、持続音)は1回叩いただけでものすごく伸びます。ガラスや陶器のサスティンはそんなに伸びません。
回しても音が大きくなるだけで音が伸びるわけではありません。実際はやさしい叩きによってそのボウル本来の音質、音伸びが明確に現れてきます。
ご不安な方のために: 2011年度以降に製造されたアルケミーボウルの素材チェック(水晶製かそうでないか)をご自分の耳でも確認してみてください。陶器製の可能性のある事柄をあげてみました。
・やさしく叩いたときにお寺系のボーンという音だけで倍音が聞こえない。
・全く力を入れないやさしい叩きの音伸びが10秒そこそこで減衰に向かってしまう。これはクラシック以下の音伸びレベルです。時計の秒針で計測してみてください。
・ちょっとしたことで壊れやすい。(水晶は堅いものですから、そうおいそれとは壊れません。)
考えられること:その会社の炉は既に20年以上たってとっくに炉寿命はきており、大規模な作りなおしが必要な時期に入っていると思われますが、2011年初頭に全社員解雇してますから財政的問題を抱えているようです。そうすると高温はもう出せなくなってきますから、2000度水晶は難しくなり、1400度程度のセラミックガラスへ移行せざるをえなかったのかもしれません。最近は炉を使わずにできるディジュリドゥーなどPRしてますね。
●怪しいクリスタルボウル演奏者
2012年12月に聞いたおはなし: ある演奏者の話ですが、近年トーンズ社のアルケミーボウルをたくさん購入して、つい最近そのうち1個を壊してしまい、トーンズ社へリペアに出してなんと1ヶ月で返ってきてちゃんと修理できたから水晶なのだそうです。そしてそのボウルは色が消えていたそうです。音もきれいだとのこと。
うちではトーンズ社のリペアも日本のリペアもたくさん見てきています。(リペアボウルに関しては日本で一番たくさん見てきているショップでしょう。)
トーンズ社のリペア方法と日本のリペア方法は違います。
トーンズ社リペアは色を残すために低温でリペアを行なうので今まで色が消えて返ってきたことは一度もありません。日本のリペアは再度壊れないようにきちんと高温で行なうので色が消えますが、トーンズ社のリペアはお色最優先です。
それとリペアできれば水晶って、、、セラミックでもガラスでもリペアはできますよ。それぞれ専門がありますからね。
なぜその演奏者はそんな怪しい話をする必要があったのでしょうね。
●おそるべし、セラミックガラス!!!
セラミックというのは陶器系だけだと思っていました!が、、、、
調べるうちに、なんとセラミックガラスもあるということがわかりました。
一般のガラスとほぼ同じ1450度前後が溶融温度です。ガラスより固いが脆いとあります。
色をつければ素材はさらにごまかしやすくなります。
このセラミックガラス製ボウルとかつての水晶製アルケミーボウルは、見た目と音だけではなかなか判別しにくいことがわかりました。
アルケミーボウルがもともと陶器的製造方法のため、音質が非常に近いようです。
一般のガラスは叩いたときの金属的な音質と、じきに鳴り止む音の短さですぐにガラスだとわかりますが、このセラミックガラスはアルケミーボウルと音質も音伸びレベルもそっくりなのです。
これでは並べて比較してもわかりにくいことでしょう。
わかる人が見れば壊れた時の破断面だけでも水晶とは明らかに違うということがわかります。
特に最初からアルケミーボウルの音色しか知らなくて、そういうものがクリスタルボウルの音色だと思っている人なら、セラミックガラス製ボウルは抵抗なく受け入れられそうな音色です。
クラシックボウルやピュアなOPクリア系ボウルを聞いたことのある人ならやはりなんとなく違和感を感じると思います。
セラミックの語源は「粘土を焼き固めたもの」ですが、広義には陶磁器全般をさす。
セラミックスは次のような性質を持っている。
常温で固体
硬度は高いが、脆性破壊する
強度、破壊靭性が内部の局所的な欠陥構造に左右されやすい
耐熱性に優れるが、熱衝撃破壊を起こしやすい
金属より軽く、プラスチックより重い
セラミックスの用途
陶磁器
ガラス
セメント
石膏
ファインセラミックス(ニューセラミックス):誘電性・磁性・光学的な面などで高機能をもつ。
成形方法:ろくろ成形、押出し成形、射出成形、泥漿(でいしょう)鋳込み、加圧鋳込み、回転鋳込み。
2012年11月26日